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課題:ナリルチンの大量生産
ナリルチンはじゃばらという和歌山県の柑橘類に多く含まれているナリンゲニンの配糖体(naringenin-7-O-rutinoside)であり、抗アレルギー、抗酸化や脱顆粒現象の抑制などの作用を持っていることから多くの慢性疾患の治療を目的とした研究に用いられています。しかし、果皮からの天然抽出が1%未満の低収率であり、化学合成も高コストであるため、大量生産が困難とされています。
解決策:ナリルチン生合成酵素のクローニング
そこで、私たちはじゃばらに由来するナリルチン生合成酵素をクローニングし、発酵による合成生産経路を酵母で行うことを目指しています。この合成経路の構築には二つの酵素を必要とします:
1. F7GT (Flavanone-7-O-glucosyltransferase)
2. 1,6RhaT (1,6-rhamnosyltransferase).
これらの遺伝子の配列はまだじゃばらでは未同定であるため、じゃばらからRNAを抽出し、cDNAを合成した上で、既知の柑橘類由来の類似酵素の配列を参考にプライマーを設計し、ORFの同定とクローニングを行います。その後、その遺伝子配列を元に、酵母に向けたコドン最適化された合成遺伝子を作成し、酵母の発現ベクターに組み込みます。土ちに精製した酵素はナリンゲニン、UDP-グルコース、UDP-ラムノースを用い、ナリルチンのin vitro合成を目指します。
このプロジェクトが成功したときには、後にプロダクト化を実現させます。花粉症に困る人々のために鼻スプレーやインへーラーを開発し、社会実装を最終的な目標として活動を取り組んでおります。